歯科矯正治療は美容整形?

 今(6月24日朝)、NHKあさイチで若者の美容整形の特集をやってます。

 

 身体のどの部位でも、コンプレックスがあるなら、治すのは本人の自由であると私は考えております。

 

 歯科矯正治療も歯並びにコンプレックスがあるのなら治療を受ければ良いと思いますが、歯科矯正治療は「噛める」ように治療するのが第一次的な目標であり、美容への効果は二次的な結果と考えるのが医療する人間としての本音です。

 はい、私は歯科医師として歯科矯正治療が美容整形だとは考えておりません。

 

 確かに、出っ歯を治せば、口元が引き締まり、鼻が高く見えるようになります。八重歯が可愛いのでは無く、顔が小さく、口が小さいから歯が並びきらなくて一番最後に生える犬歯が八重歯になるだけの話で、口の中の清掃性が悪くなり、年齢を重ねるとお口の中の健康度に悪影響を与えます。(あと、年寄りの八重歯は不気味に見えますので、芸能人だと多くの人が治してますね。)

 

 さて、良い事ばかりでは無いことも書いておきます。

 「出っ歯をできるだけ下げて欲しい。」と要望される患者さんはおりますが、下げる分量には限界がありますし、移動距離が多くなれば歯へのダメージも大きくなります。舌の大きさ、鼻疾患の有無などの要素もあります。レントゲン写真を撮影して、診断します。

 外科的に(手術をして)上顎骨から下げる方法もありますが、コレにも限界があります。呼吸がしにくくなったり、睡眠時無呼吸症候群の原因になったりします。(最近問題になっています。)

 

 歯科矯正治療に限らず、美容整形を受けるに当たっては、利点欠点を十分に理解してから受けてください。他人お話やSNSの記事には良い話しか目に付かないでしょうが、失敗例や後遺症が出る例もあるのですよ。

 

 税制上では歯科矯正治療は美容外科とはされておりませんので、医療費控除の対象になっております。つまり、財務省は歯科矯正治療は「医療」と認めているわけです。

 これに対して厚労省は、顎変形症や口蓋裂に起因する歯列不正の歯科矯正治療は保険導入、つまり医療と認めているだけで、それ以外は保険診療としない自費治療としてます。外国では歯科矯正治療を保険導入している国もありますが。